アニメ『ワンパンマン』第3期サイタマ役:古川慎さんインタビュー

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――第2期で印象に残っているセリフやシーンを教えてください。

古川 印象深いシーンはたくさんありますが、第2期の第1話(#13)がとても好きですね。今まで謎だったキングの人となりがわかったり、キングが今S級であることにサイタマが関わっていたとわかる話です。キャラクター同士に実は繋がりがあって、その繋がりで人生があらぬ方向に行ってしまう…というところに、『ワンパンマン』という作品の面白さが出ていると思います。あとは、スイリューが登場する話が好きです。飄々としている時と切羽詰まっている時の演技に、“声優・松風雅也”の真骨頂を感じて…。現場でご一緒させていただいたのですが、本当にすごい先輩だなと改めて思いました。

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――第1期と第2期でサイタマは「成長」はしていないと思いますが、「変化」はありますか?

古川 サイタマ自身は何も変わっていないのですが、物語の視点が第1期と第2期以降で変わったと思います。第1期は、自分の住む町に怪人が現れた、ヒーロー協会に行く、ヒーローになってみよう…など、サイタマの主観で描かれています。一方第2期では、他のヒーローや怪人達の主観が入り混じっているエピソードが多いんです。演技でも第2期以降は「他者から見たサイタマ」を表現するために、第1期の頃よりも「得体の知れない人にしたい」と思っていました。なので、声により「平熱感」を出そうと意識していたんです。つまり、もしサイタマに変化があったとしても、それはサイタマ自身の成長や変化というよりも、「サイタマの見せ方」を古川が変えようと思って芝居していた、ということですね。

――お芝居の変化があったんですね。

古川 あとは、僕の声自体がこの数年間でだいぶ低くなったんです。今第1期の時の声質を再現しようとすると、力が入ってしまって「サイタマ」にならないんですよ。なので、サイタマの声の基本のトーンが下がりました。声質の再現よりも、今出せる「サイタマらしいニュアンス」を重視したお芝居で、どうにか頑張っていきたいと思っています。

――第1期から第3期までのディレクションはどのようなものがありましたか?

古川 声に「平熱感」を出す、というディレクションは第1期から変わらずありました。あと、先ほどの話に繋がりますが、迫力満点の映像の通りに感情を乗せて芝居するよりも、もっと温度を低く、感情を込めない…悪く言えば「棒読み」にした方が、「得体の知れない強い存在」に聴こえるんです。ですから、「他人から見たサイタマ」がキーである第2期や第3期は、より温度を低くするようなディレクションが何回かありました。

――おっしゃる通り、第2期以降は第1期より底の見えなさを感じます。

古川 そうなんです。サイタマって変な人で、一見強くなさそうなビジュアルなのに、実は超強いって何なの!?っていまだに思います。しかも、生活や性格はとても庶民的なんですよね。そういったちぐはぐな異質感がサイタマの一番のアイデンティティだと思っているので、彼らしい異質さをより表現できるように意識しています。

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――古川さんが歌うEDテーマ「そこに有る灯り」について、注目してほしいポイントを教えてください。

古川 第3期のEDは「ハッピーエンド!」という感じにしたくなかったんです。なので、サイタマやヒーロー、怪人達含めた色んな人達が、ちょっと羽を休められる曲になればいいな…と思って作っております。また、第1期と第2期のEDは、歌詞に少し繋がりを感じる部分があるので、第2期と第3期のEDも少し繋がりを感じるようにしています。ですが、受け取り方は聞き手に委ねているので、第2期EDの「地図が無くても戻るから」の別側面だと捉えている人もいれば、第2期からの地続きとして見ている人もいて、2曲を全く別のものとして見ている人もいていいと思っています。

――第3期でヒーロー達と敵対する「ガロウ」の印象を教えてください。

古川 本当にかっこいいですよね。魅力的なキャラクターって、作品が違っていたら主人公になっているんだろうなとよく思うんです。まさしく、ガロウはそういうキャラクターです。どこまで強くなるんだろう、どこまで窮地を切り抜けて行くんだろう、と、読者側が期待したり応援したくなったりします。タレオを決して見捨てない優しさもあって、「根っからの悪ではない」と思える人です。ただ、それでも彼はヒーローではなく、紛れもなく怪人側なんですよ。怪人なのに優しさがあって、応援したくなる、そういうキャラクター性に、ダークヒーローの旨味が凝縮されています。相当かっこいいダークヒーローで、その上で緑川光さんが声を演じているので、もうかっこよさが止められないです (笑)。

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――第3期で楽しみな部分や視聴者の方へのおすすめポイントを教えてください。

古川 色々ありますが、童帝の戦いで彼のランドセルがしっかりがちゃがちゃ動いているところをアニメで見られることが楽しみです。声を演じる高山みなみさんのガッチガチの戦闘シーンのお芝居も楽しみですね。童帝のように、第1期・第2期で少しだけ登場してはいるけど、実際どんな人なのか、どんな能力なのかわからなかったS級ヒーローがたくさんいます。今回は彼らにスポットライトが当たっていくので、ぜひぜひS級ヒーロー達の戦いを楽しんでほしいです!

――自分の住む街にいて欲しいヒーローは誰ですか?

古川 無免ライダーですね!非常事態が起こったときに、率先して立ち向かってくれる人が一人でもいれば、絶対に後から誰かがその信念に賛同して付いてきてくれると思うんです。だから、はじめの一歩を踏み出してくれるような、無免ライダーが必要です!

――サイタマとジェノス以外で、古川さんが推したいヒーローは誰ですか?

古川 ゾンビマンですね。戦い方が好きです!あと、色々なところで言っているんですけど、ドラマCDでゾンビマンが自己紹介したときの「俺はゾンビマン」という櫻井孝宏さんの言い方が面白すぎて大好きで、それからずーっとゾンビマンを応援しています。

――では、自分の街に来てほしくない怪人は?

古川 ワクチンマンです。デカすぎるので!巨大な怪人には何があっても来てほしくないですね(笑)。

――古川さんから見たサイタマを一言で例えると?

古川 「一撃必殺」とか、「出たら終わる」ですね。あとは、「みんな待ってる」です。

――では、古川さんから見たジェノスを一言で例えると?

古川 「弟子」…でしょうね。あと少し、「ずるい」ですね。「パーツの付け替えで強くなる!?俺にもくれよ、その能力!」って思っています(笑)。

――最後に、「となジャン」読者にメッセージをお願いします!

古川 アニメが10周年ということに個人的にびっくりしています。「となジャン」で当時から読んでいらっしゃった方に関しては、それ以上に長い間『ワンパンマン』という作品を追っていらっしゃったと思うと、僕にとってはみなさんが師匠です。そして、アニメの先まできっとみなさん読んでいらっしゃるでしょうから、この先どういう風になるんだろうという予想や期待をしながら、観てくだされば嬉しいです。原作コミックスをアニメ化する、ということは、絵が動くこと、そして台詞や音楽という音がつくということが一番大きいと思います。音響、そしてキャストのみなさんの技と熱意をギュギュっと濃縮して収録いたしましたので、ぜひぜひ期待していただけるとありがたいです。よろしくお願いします!

アニメ第3期は毎週日曜23:45から放送中ッ!
石川界人(ジェノス役)インタビューは12月12日(金)掲載ッ!

アニメ「ワンパンマン」公式サイト

コミックス35巻好評発売中!

表紙画像
©ONE・村田雄介/集英社・ヒーロー協会本部