――絶賛第3期放送中ということで、第1期からこれまでの物語で、ジェノスの変わった一面、成長した一面、あるいは一貫して変わらない部分は何でしょうか?
石川 サイタマ先生に出会ったことによって、第1期で「孤高のサイボーグ」として一人で戦っていた時より、様々なキャラクターたちとの交流が増えていますね。内面での大きな成長は、第3期以降のこれから描かれる物語でしていくと思います。変わらないところは、やはりサイタマ先生のことを「先生」と慕い、弟子として常に学ぼうとしている姿勢と、サイタマ先生へのリスペクトの念です。

――ジェノスを演じるにあたり、第1期~第3期でのディレクションの変化や意識していることを教えていただきたいです。
石川 第1期の時は「サイボーグらしさ」を重視して「すごく淡々とセリフを読んでください」と言われていました。なので、初登場のシーンや、モノローグですら、テンションの起伏がそんなにないんです。あっても若干感情が滲むぐらいですね。「弟子にしていただきたい」とサイタマ先生に言った後から、「このサイボーグもきちんと人間である」と分かるような演技にしていきました。第2期では、サイタマ先生や他のキャラクターとの交流が増える中で、徐々に徐々に、サイタマ先生に対する感情が「頑なな尊敬」に変化していったと思います。感情の変化に伴って、台詞での表現も少しずつ豊かになっていきました。第3期では、現状で演じた#25~28には戦闘などの緊迫したシーンがまだあまりないので、日常的な、より人間らしさが出ているような演出になっています。

――約6年ぶりの収録はいかがでしたか?
石川 みなさんお忙しいので、一緒に収録できないことも結構ありました。ただ、『ワンパンマン』は、国内のみでなく海外でもかなり人気作品ですよね。アメリカなど海外ですと、日本のようにみんなが一堂に会してアフレコをする、ということがあまりないんですよ。だから、アニメ『ワンパンマン』がグローバライズされていくにあたって、海外のやり方に近くなっていってるのかも…とも思えて面白いです。また、一人で収録することによって、一役一役に時間をかけて役を作っていける、ストーリーを丁寧に積み重ねていける強みもあると思います。
――第3期の楽しみなところや、視聴者におすすめしたい見どころを教えてください。
石川 今までS級ヒーローたちはどんな怪人でも敵わないぐらい強い存在として描かれてきましたが、彼らが苦戦を強いられるような、今までにない強大な怪人が出てきますので、ぜひ注目してほしいです。あと、強大な怪人達の「圧」もとても楽しみにしています。
――「圧」と言えば、以前別のインタビューで、好きなキャラクターに阿修羅カブトを挙げていましたが…
石川 阿修羅カブトいいですよね!今までで一番圧があったんじゃないかな(笑)。
――第3期でヒーロー達と敵対する「ガロウ」の印象を教えてください。
石川 もう一人の主人公のようなキャラクターだと思います。サイタマは一般人にはちょっとキツいぐらいのトレーニングをやったら絶大な力を手に入れてしまった人。でもガロウは、一般人には到底予測もつかないほどの努力をして来たのに、サイタマのような力は得られていない人。努力を重ねてきていて、タレオの存在もあって、そして勝利を目指している…というキャラクターなので、魅力的な要素が備わっているのではないかと思います。そして、ガロウはただただ「悪事を働きたい」わけではなく、心の奥に「弱き者を救ってくれない世界に対する憎悪」を抱えている人です。そういう彼の人間性が、作品によっては主人公になり得る資質だと僕は思います。

――3期でガロウのほかに気になる怪人を教えてください。
石川 黒い精子です!かなりの難敵で、声を演じている梅原裕一郎さんが自分とほぼ同世代なんです。同世代の役者が強敵をやっているっていう、自分の中だけでのちょっとしたアツさがあります。
――サイタマ、ジェノスを除いて推したいヒーローは誰ですか?
石川 僕は1期、2期のプロモーション活動の時からずっと「地獄のフブキ可愛い、地獄のフブキ可愛い」って言ってきたんですが、物語が進んでいくうちに、戦慄のタツマキのことを「かっこ可愛い」とすごく思うようになってきて…。戦慄のタツマキいいですよね、戦慄のタツマキすごい好きです。彼女は地獄のフブキに対して冷たく見えますが、大事な存在に対して素直になれないことは、誰しもよくあると思います。親族に対してならなおさら。冷たい人間と思われがちな戦慄のタツマキの真意が見える展開が今後アニメで来ると思いますので、是非注目していただきたいです!
――自分の住む町にいて欲しいヒーローは誰ですか?
石川 番犬マンです。知らないうちに、何かが起こる前に有事の前に有事を防ぐ、みたいなやり方が、一市民として一番安心できます。自分の住んでいる町は平和なんだって信じる事ができるので、番犬マンにいて欲しいです。
――自分の住む町に一番来てほしくない怪人は誰ですか?
石川 全員嫌です(笑)。全員嫌ですけど、汚物系は特に嫌です。最近の日本の夏は暑くて湿度が高いので、汚物系の怪人の臭気が増して、気分を害する方がたくさんいらっしゃいそうです(笑)。
――ご自分が演じるジェノスを一言で例えると何ですか?
石川 「弟子」です。この「弟子」という言葉は、この先の3期の物語の展開を考えると、かなり重要なワードになってきます。「ジェノスが誰を師匠にしているか」というよりも、「誰にとっての弟子がジェノスか」を考えながら3期を見てもらえると、エモくなると思います。
――では、サイタマを一言で例えると?
石川 それはやっぱり、「師匠」ですね。
――最後に、「となジャン」読者にメッセージをお願いします!
石川 「となりのヤングジャンプ」をお読みいただきましてありがとうございます。ジェノスを演じています、石川界人です。皆さんがこの「となジャン」で読んでいた『ワンパンマン』の物語がまたアニメーションとして動き出しています。気になる戦いや気になるキャラクターの正体など、気になることは様々あると思いますが、やっと映像で皆さんの前にお届けできると思いますので、ぜひアニメも引き続き楽しみにしていただければ幸いです。

