「早朝始発の殺風景」スペシャルインタビュー

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コミカライズ版「早朝始発の殺風景」上下巻発売記念!
「早朝始発の殺風景」の原作小説のドラマ版で主演を演じるお二人にインタビュー!

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――本作は、クラスメイトと電車に2人きり。気まずい空気の中、会話が予想外の方向に転がっていく青春ミステリーですが、最初作品に対してどのような印象でしたか?

山田 作中に「青春は気まずさでできた密室だ」っていう言葉があるんですけど、その言葉の中でキャラクターたちがもがいて、そこから脱出しようとしていく様がすごい疾走感で描かれていて。どんどん読み進めてしまう、面白い作品だなと思いました。殺風景というキャラクターを自分が演じるにあたり、どのように作っていくのかというのもすごく楽しみになりました。

奥平 台本の掛け合いやずっと代りばえしない状況をどうやって撮影するんだろう、そういう楽しみもありました。役については、僕が演じた加藤木は想像がつくキャラクターだったんですけど、殺風景はあまり想像がつきませんでしたね。自分の中にイメージしている殺風景はいましたが、山田さんの演じる殺風景はもちろん違うだろうなと思っていたので。

――実際の山田さん演じる殺風景はいかがでしたか?

奥平 山田さんの殺風景に対し最初どう感じたのかはあまり覚えていないですが、僕の演じる加藤木の、会話の繋ぎ方や間、仕草というのは、間違いなく山田さんが演じる殺風景を見てできたものです。殺風景の目とか…殺風景というフィルターを通したおかげで、その場での加藤木というものが出来たのではないかなと思います。

山田 逆に、私はすごく自由に楽しくやらせてもらいました。加藤木の演技がすごく柔軟というか…柔らかいなって。

――殺風景はかなり難しいキャラクターだったと思うのですが、役作りで考えていたことはありますか?

山田 そうですね、殺風景は淡々としてるんですけど…。例えば友達のことになると熱さを持っていたりとか、怒りがあったりとか。そういうメリハリみたいなのは意識しようと思って演じさせてもらいましたね。

――全編通して同じシチュエーションでの会話劇というのがこの作品の特徴の一つでもありますが、普段と比べて苦労した点はありますか?

奥平 普段よりセリフをすごく意識しました。会話のテンポだったり、気まずい空気感だったりをどう出せば良いのかなって。実際に出せたか分からないですけど。ずっと動きがないと見ていても飽きちゃうじゃないですか。それをお芝居でどう面白くするかというのは、考えましたね。

山田 私もそうですね。セリフ的にどうしても説明セリフになってしまうところが多かったので。抑揚とかテンポ感とかで、説明っぽく聞かせないようにしなきゃというのは、ずっと考えながらやっていました。このタイミングでどういう風に繋げたら、すっと聞けるかなとか。

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――2人きりの会話劇の独特な「気まずさ」すごく伝わってきました! 空気感を作るのに、監督からの指示もあったのですか?

山田 加藤木のことを、かとぅーぎって呼んでくれって言われました。

奥平 言われてたわ、確かに(笑)!

山田 台本は加藤木なんですけど、監督に急に「ここさ、かとぅーぎって呼べる?」って言われて。これがすごく良いスパイスになっていると思います。気まずさの中で一瞬、「ん?」ってなる(笑)。

奥平 僕は監督からずっと殺風景のことを加藤木がどう思っているのかは意識していてほしいと言われました。明確には分からないですけれど、好きなのか、それとも友達として助けたいのか、別の理由があるのか、とか…。

――気まずさは加藤木くんだけが感じていると思うのですが…演じる中で気をつけたことはありますか?

山田 確かに! 気まずさを感じているのは加藤木で、殺風景は全然気まずくない(笑)。

奥平 僕、結構気まずい雰囲気が好きなんですよ。うわ、きまず~とは思うんだけど…。だから、気まずいときに現れる仕草だったり、ちょっとした言葉の出し方とかって分からなくて、周りの人に聞きましたね。「気まずい時どうする?」って。そしたら、「とりあえず何か会話続けるかな」みたいなこと言われて。そっか、じゃあ気まずい人と一緒にいる時、必死に何を話そうとか考えてるんだなと思って、会話で0から1を作るときに、ちょっと不器用さを出すっていうのを考えていましたね。

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――撮影中以外はどんな雰囲気だったのでしょうか? もちろん気まずさはなく…(笑)。

奥平 最初は気まずかったかもしれませんが(笑)。あんなに長くて大変なシーンを一緒に過ごして…一緒に成し遂げたという感覚はあります。

山田 あの長台詞を覚えて来た時点でね(笑)。撮影の空き時間に、そこら辺の原っぱですごく寝てたよね。やばい、野生児だって思いました(笑)。

奥平 確かに、撮影の空き時間に寝るのにハマってました(笑)。

――お2人が役を演じてみて、それぞれにご自身が似ているなと感じる点はありましたか? 殺風景は結構変わった人間でしたが…。

山田 似ていた部分は、あまりないかもしれませんね。でも、飲んでいたものをバンって投げるところは楽しかったです(笑)。

奥平 あれ楽しかったんだ(笑)。加藤木って自分を出すのをためらってる人だと思うんですよね。自分の素を。もちろんその素を理解してくれる人はいるとは思うんですけど、そんなに多くないと思うし、出すのにちょっと抵抗があると思う。僕も結構そういうタイプなので、自分の素を見せられる人がいるのが良いなって思います。僕もいないわけじゃないですけど(笑)。そういうところは加藤木に似てるかなって思います。

――続いて原作の青崎先生からお2人へ、「原作執筆中に気まずい密室を考えるのがすごい大変だったのですが、お2人が演じてみたい気まずいシチュエーションはありますか?」という質問なのですが、いかがでしょうか?

奥平 浮気現場とか! まじで気まずそうじゃないですか。その気まずさに関しては笑えないですからね。いつもは楽しんじゃってるので、楽しめない気まずさがいいですね。シャレにならない(笑)。

山田 あと、カラオケとか。入れる曲なくなっちゃって広告が流れる時間とか気まずいですね。いつかやってみたいです。仲良くない人同士が、「普段何入れるのー?」って。面白そう(笑)。

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――それは両方ともとても気まずいシチュエーションですね(笑)。それでは最後に、ドラマの見所を教えてください。

奥平 間違いなく1話の電車のシーンが一番大変だったので、そこは見てほしいです。あとは最後の方かな。

山田 そうですね、最終話のカフェのシーンが楽しかったです。1話の気まずさとは違う、時間が経った2人の感じが見られると思います。

奥平 2人の会話から何があったのか予想しながら見てほしいです!

 

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早朝始発の殺風景㊤

表紙画像

早朝始発の殺風景㊦

表紙画像

プロフィール

・山田杏奈(殺風景役)
2001年1月8日生まれ21歳。埼玉県出身。
2011年、『ちゃおガール2011☆』オーディションでグランプリを受賞。「ミスミソウ」(18)で映画初主演を果たす。主演映画『山女』が2023年公開予定。

・奥平大兼(加藤木役)
2003年9月20日生まれ19歳。東京都出身。
映画「MOTHER」('20)で脚光をあび、第44回アカデミー賞新人賞など多数受賞。主演映画「君は放課後インソムニア」が2023年公開予定。

 

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WOWOWオリジナルドラマ「早朝始発の殺風景」
2022年11月4日より毎週金曜23時30分~
放送・配信中!(全6話)

撮影◎石川耕三
<山田杏奈>
スタイリング/中井彩乃
ヘアメイク/菅長ふみ
<奥平大兼>
スタイリング/伊藤省吾(sitor)
ヘアメイク/速水昭仁