「バクマン。」舞台化記念!
舞台俳優のトップを走り続ける鈴木拡樹さんと荒牧慶彦さんに特別インタビューを敢行!!
お話を進めていくうちに発覚した意外な漫画愛…!?
ファン必見のインタビューです!!
――原作の『バクマン。』がアニメ化・映画化を経て、ファン待望の舞台化だと思います。鈴木さんは「真城最高(サイコー)」を、荒牧さんは「高木秋人(シュージン)」を演じることが決まり、改めてお二人から見たそれぞれのキャラクターの印象を教えてください。
荒牧:僕から見た「シュージン」は頭が良くて、自分を客観的に理解できる力を持っている人だと感じました。自分は絵を描く才能がないから、漫画家になるために相棒を探す。その理論的な考え方が、結構僕にも似ているところがあるなって思っていたんです。これは舞台化に関係なく、ファンとして連載当時に『バクマン。』を読んで、彼にとても共感している自分がいた記憶がありました。
鈴木:僕からみた彼(サイコー)は、全ての人にとって共感しやすい役だと思っていました。自分が就きたい職業の夢を思い描いている状態から始まり、夢に向かって走り始め、その夢が仕事というすごくリアルなものに変わってしまった葛藤。それって誰にでも起こりうることで、一番共感しやすい部分なのではないかなと思ったので、彼を演じることがとても楽しみになりました。
――お二人が俳優を目指そうと思ったきっかけを教えてください。
荒牧:僕は高校の友人の存在がきっかけでした。彼が俳優をしていたから、俳優という職業を身近に感じていたし、面白い職業なんだろうなって思っていました。そんなことがあったから、自分の進路に悩んだ時期、友達に「俺、就活やめて俳優になるわ」って言いました。もちろんその時はみんなに心配されました。(笑)みんなが就職活動をしている中、僕は俳優になるための下調べ。僕、プランがないと行動に移れないタイプなので。でも今ここにいるのは、運の要素が強かったからだと思っています。
鈴木:きちんと考えて対策したから、掴んだ運ってことだもんね。
荒牧:そうかもしれないですね。(笑)
――鈴木さんのきっかけを教えてください。
鈴木:さっき聞いてもらったのが、しっかりしている方の例です。(笑)
荒牧:しっかりしている。(笑)
鈴木:昔舞台を見に来ないかって誘っていただいて、足を運んだのがきっかけでした。初めての観劇で、右も左もわからないけどとりあえず見よう!って軽いノリだったんです。今思ったらそれくらいがちょうどよかったんですかね。舞台の生の迫力にあてられて、「何、この世界」って興奮したんです。この世界すごいなって。家に帰っても何週間経ってもその興奮は冷めなくて、その世界に飛び込んでみたいって思っちゃったんです。
――そのぐらい衝撃を受けた舞台という世界に飛び込んで、お二人は今まで前線を走り続けていると思うんですが、その中で大変だったこと、苦労した思い出はありますか?
鈴木:山ほどありますよ!(笑)
荒牧:演技をするお仕事だけど、かなり体力も必要だと思います。
鈴木:完璧に努めて演じなきゃと思うと、プロのアスリートと同じような運動量を、遜色なく体で表現することになるんです。普段その運動をしていない人の体にとっては、かなり負担なんですよね。それでも一つの役をやり切っていることはどの役者さんもすごいことだと思っています。
――役を完璧にこなす、体現するためにご自身達で役作りをするときは具体的にしていることはありますか?
鈴木:気になるところはとことん突き詰めます。元々そういう性格で調べることも好きだから、その工程も全て楽しんでいます。役を作る上で、ルーツを知ることや理解力を深める時間はすごく大事だと思うんです。稽古を重ねて育っていく人格形成というものもありますが、ベースとなるキャラクター性の補完は、自分が最初に調べて作り上げるものが土台になると思います。それでも実際、稽古まで持っていた土台が、稽古で役を動かして初めて気が付く部分によって変わることも多々あります。
荒牧:僕も同じです。作品を履修することは当たり前で、そこから稽古に出て役を動かしてみたときに気付いたことに、臨機応変に対応して作り上げていきます。
鈴木:僕、漫画家さんって凄いと思っていて。我々の舞台は作り上げる時には必ず、キャスト、演出家さん、照明さん、音響さんといった様々な感性を持った人が、自分が出来るベストの芸術をぶつけて一つの作品を作るんです。でも漫画家さんってそれを1人で全部担当されるじゃないですか。それって僕達からしたら考えられないくらいすごいことなんです!
荒牧:そうですよね。コマ割り、演出、表現、セリフ。
鈴木:もう総合監督ですよね。漫画という舞台で映画を自分で作っているようなものだから。本当に尊敬します。
――そんなお二人の人生に、影響を与えた漫画はありますか?
荒牧:僕は横山光輝先生の『三国志』です。両親が好きで家に置いてあった分厚い本が印象的で読み始めました。最初は面白くないかも、って思っていたのが間違いで、あっという間に読み切っていました。主人公の国が滅びたことが、僕の中ではかなりショックが大きくて、所謂バッドエンドが消化出来ずにいました。そこから『三国志』に興味を持って様々な文献を調べて、僕の中で解決することが出来たことは確実に僕に影響を与えてくれた作品でした。
鈴木:僕はいよいよちゃんとこれを言える日が来たと思いました。僕の人生に影響を与えた漫画は井上雄彦先生の『リアル』です。学校の道徳に入れてもいい作品だと思っています。それぐらい僕の中では感銘を受けた作品です。元々『SLAM DUNK』を読んでいたので、同じバスケ漫画が始まったのかなと思った感覚で見始めたのがきっかけでした。想像していた試合が始まるのかと思ったら全く違っていて、加害者側の視点や、走ることが好きだった子がその手段を奪われてしまった時の心理。それを馬鹿にしていた子が、実際に自分にその立場に立たされた時、どういう人間として生まれ変わっていくのか、いろんな角度から僕達も一緒に向き合うことが出来る。とても考えさせられる作品だと思っています。より多くの方に見ていただきたい作品だなって思っているので、僕はおすすめ漫画を聞かれたときは絶対名前を挙げさせてもらっています。
――漫画への熱い情熱ありがとうございます!最後に「バクマン。」THE STAGEの見どころや意気込みを教えてください!
荒牧:『バクマン。』の舞台化は、誰しもがどうやって表現するんだろうって思うと思うんですよ。だって漫画を描く作品だから、表現としては皆さんがなんとなく想像できてしまうのかなって。でも舞台での表現の仕方は無限大で、一つの動作を見せるにしても、発想の転換で思い描いていたものとは全く違うものが出来上がる。それが「舞台」なんだと思っているんです。だから皆さん、是非『バクマン。』の世界が舞台でどう表現されるのか楽しみにしててほしいなって思っています。
鈴木:原作をご存知の方は、逆に舞台化ってどうなるんだろうって考えると思うんですけど、演出家が想像できないものを作りますと言っていたので、きっと想像しても無理です。(笑)なのでぜひ何も想像せず、フラットな状態で見に来ていただくことが、ベストかなと思います。舞台という限られた時間の中で精いっぱい、見てよかったと思える作品に仕上げていくので、体で『バクマン。』を体験して欲しいです。劇場はとても広くて、その広い空間全てが作品の世界観に変わって、それをその場で体感することは、舞台でしか出来ないことだと思うんです。劇場という広い空間で、『バクマン。』を味わってみてください。漫画好きの方、是非待っています!
――舞台応援しております!ありがとうございました!
―――未公開talk!―――
――お二人が感銘を受けた漫画を聞きましたが、他にはどんな作品を読まれますか?
荒牧:『HUNTER×HUNTER』や『NARUTO』、『ONE PIECE』など、ジャンプ系はだいたい読んでいます。『ドラゴンボール』も読んでいましたし、ヤングジャンプで連載していた『ドロ刑』も読んでいました。今読み進めている作品は『ブラック・ジャック』で、少し昔の漫画を読むのにハマっています。やっぱり昔の漫画って考えさせられる作品が多くて、今読んでも楽しめるのがすごいなと思います。
――ちなみにおすすめの漫画をあげるとしたら何をあげますか?
荒牧:今のおすすめは『バクマン。』ですよね。
鈴木:僕も『リアル』はいつもすすめている作品ですけど、今すすめるならもちろん『バクマン。』ですね。漫画の見方が変わる凄さが『バクマン。』にはあるんですよね。
荒牧:あ、もう一つあげていいのであれば『キングダム』をあげさせてください。僕全巻持っているんですけど、蕞の城のシーンは感動しました。
鈴木:『僕のヒーローアカデミア』も最近推しています。
荒牧:『ヒロアカ』面白いよね!
鈴木:アメコミとの融合が素晴らしくて、日本の読者にも読みやすいスタイルであっという間に読んでいました。
荒牧:たくさんおすすめを出してしまっているんですが、是非『ブラック・ジャック』を皆さんにも見て欲しいです。皆さん『ブラック・ジャック』という作品の名前は知っていると思うんですが、お話は知らない方もまだまだいらっしゃると思うんです。アニメ化もされていたと思うんですが、手塚治虫先生の漫画のコマ割りや作品の味を、是非紙の漫画で見て欲しいです。
鈴木:衝撃的だもんね、『ブラック・ジャック』って。
荒牧:衝撃的ですよね。『ブラックジャックによろしく』とか『ヤングブラック・ジャック』とか、派生漫画はいっぱいありますけど、やっぱり『ブラック・ジャック』は見て欲しいです。手塚治虫先生の作品は全部すすめたいです。
――不朽の名作が多いですよね。
鈴木:ぜひ『どろろ』も入れておいてね。
荒牧:もちろんです。『どろろ』も手塚治虫先生ですもんね。確か未完の作品ですよね?
鈴木:そう、それもどこかかっこいいなと思っていて。未完となってしまっている作品って、そこから先は読者の皆さんが広げていけると思っているんです。作品の世界観を大切にしつつ、自分だけの世界観でストーリーを考えられる良さはあると思うんです。でもやっぱり先生が描く結末は、一ファンとしては見たいなって思いますね。
――お二人の漫画への知識と愛がかなり伝わりました…!ありがとうございました!
Profile
真城最高 役/鈴木拡樹
6月4日生まれ
2007年にドラマ『風魔の小次郎』で俳優デビュー。以降、舞台を中心に映画やドラマなどで活躍。主な出演作に舞台『刀剣乱舞』シリーズ、劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season月”下弦の月”、ミュージカル『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』など。
高木秋人 役/荒牧慶彦
2月5日生まれ
2012年にミュージカル『テニスの王子様』2nd seasonで本格的に俳優デビュー。舞台を中心に活躍するほか、映画、ドラマなどへの出演やアニメ、ゲームの声優としても活動。主な出演作に舞台『刀剣乱舞』シリーズ、MANKAI STAGE『A3!』シリーズ、『ヒプノシスマイク‐Division Rap Battle‐』Rule the Stage‐シリーズなど。
Information
【公演期間・劇場】
<東京公演> 2021年10月8日(金)~17日(日) 天王洲 銀河劇場
<東京公演> 2021年10月21日(木)~24日(日) TOKYO DOME CITY HALL
<大阪公演> 2021年10月28日(木)~31日(日) メルパルクホール大阪
【一般発売日】 2021年9月12日(日)10:00
スタイリスト/中村美保、宇都宮春男(YKP) ヘアメイク/AKI、鈴木りさ(STRINGS)
衣装協力/Karaln、STILL LIFE、Blanc YM、Et baas、OURET、PUZZLE
©大場つぐみ・小畑健/集英社・「バクマン。」THE STAGE制作委員会