YJ(ヨシモトジャンプ)インタビュー 4週連続企画vol.2

f:id:tonarinoyj-op:20181203135505j:plain
撮影:川上優

ヨシモト×YJの四週間!!
第2回は知る人ぞ知るからお茶の間に! 独特の世界観で観る人を魅了し続けるシソンヌ!! 笑いに懸ける情熱から漫画愛までの直球赤裸々インタビュー!!

 

シソンヌ

じろう
生年月日:1978年7月14日
出身地:青森県

長谷川忍(はせがわしのぶ)
生年月日:1978年8月06日
出身地:静岡県

所属:よしもとクリエイティブ・エージェンシー

 

―お二人の出会ったきっかけを教えてください。

長谷川 出会ったのは養成所です、NSCの11期で。

じろう 長谷川さんは最初は漫才をやってて、僕は一人でコントをやってました。最初のネタ見せで、すでに今もやってるおばさんのカッコして、電車で痴漢にあうネタをやってましたね笑。

―それを見たとき長谷川さんはどう思われたんですか?

長谷川 おもしれえなと思ってましたよ。他の人とコンビを組んでいた時は自分がネタを書いていたんですが、いつも薄っぺらくて面白くないな、リズムとテンポで笑いは取ってるけど、自分で考えるのには限界があるなと考えていたんですね。で、その一人ネタを見たときは、面白いけど伝わってない感じがあるから俺が入ってツッコミしたいなと思ってました。じろうとはすぐに仲良くはなってました。同い年だから話題にも事欠かなかったですし。こういう人とやりたいなというのはありましたね。ただ、相方は色んな人とコンビを組んでいたので、すぐには声をかけなかったんですよ。どの人とやるんだろうなと思ってて。でも組んでるやつとのコントを見ても、あー良さが殺されてるな、自分の方がうまく引き出せるなと思ったりして笑。授業で一緒の時に「あいつとは合ってないんじゃない?」とかちょこちょこ言ってましたね笑。長い目で見てアプローチをかけてました。

―じろうさんが他の人と組んでいたのはなぜですか?

じろう 誘われると断れないんですよ笑。やろうと言われたら、ああいいよと笑。 でやってみてうまくいかなくて、やんなきゃよかったなって笑。

―そうなんですね。突っ込んだ話になってしまうかもしれないですが、シソンヌさんは「こんな人いる?」ってところまでキャラが行ききっているのに、なぜかいそうに見える感じが非常に独特で面白いところなのかなと思っているのですが、ネタに対して意識していることはありますか?

じろう 長谷川さんの受け方だと思います。教師の生徒のコントで、例えば生徒が教師に「お前何やってんだよ」て言うのって本来おかしいじゃないですか。そう言うやり取りは排除してるんですよね。なるべくリアルな関係性でと。で、僕のキャラが飛び抜けて異常者だとしても橋渡し役の長谷川さんが特に指摘するわけでもなく自然なリアクションで笑いを取ってるからまだナチュラルに見られるって言う仕組みなのかなと思ってますね。

長谷川 そのカラクリだと思いますね。そこで僕が「なんだこいつ頭おかしいな」とか、「あっち行けよ」とか言い出すとただの変な人で終わっちゃうんですけど、僕も一応ツッコミしながらも邪険にしないと言うか。本当に道端で絡まれたら邪険にしないじゃないですか。そこを意識してやってはいますね。相方のキャラが異常者であればあるほどこっちは一般人でいるというか。だから成立するのかなと思いますね。相方もそれを想定しつつ本を書いているので。

じろう 笑いのためのやり取りはしないって感じですね。なんか。

―かっこいいなあ。

一同 はははは笑。

じろう ほんとですか笑。一度自分達の今までのネタをもう一回やるっていうライブがあったんですよ。やろうと思ったらすげぇつまんなくて、どうする?ってなった時に。僕がもう何喋ってるかわかんないほんととんでもないやつだから、とにかく優しくしてくれっていうことだけ相方に言ってやってみたら、それがめちゃくちゃ受けたんです。そっからやっぱり作り方が変わりましたね。流して、いなして、時々ツッコむのと、異常者と一般人という関係性だけで、面白いんだなってのがわかったんですよね。

長谷川 非日常と日常を混ぜてるんですよね。

―なるほど。そういったコントをやる上で参考にした方などはいらっしゃいますか?

じろう ネタをどうやって、どういう風にして行けばいいかなと考えていた時は、インパルスさんのネタを丸々書き起こして、ボケ方とか、システム的なところがどうなっているんだろうっていうのを研究していたことはありましたね。それ言ったら板倉さんすげぇ喜んでましたね。「そんなことしてたのかおまえー」って笑。

長谷川 結構言われてたんですよ、インパルスさんみたいだって。相方が変な感じで僕がピシッと行くところはピシッと行くみたいな。一時期意識して僕も映像見たりとかしてましたね。

―確かに、役回りが似ている気がします。さて今回はヤングジャンプのインタビューということで、お二人に好きな漫画をお伺いしたのですが、長谷川さんは、『ウイングマン』挙げて下さいました。

長谷川 そうですね、子供ながらにかっこいいなあと思ってたんですよね。あとちょっとエッチ。最初はアニメで見ていた印象がありますね。火曜の19時くらいだったと思うんですけど。実家のすし屋の定休日が火曜日でその日は毎週必ず家族でご飯を食べるんです。で、その日は鍋かなんか食べてて、『ウイングマン』ってかっこいいのかなと思って見てみたら第一話でお姉さんのおっぱい出てきてすごい気まずい思いをしたのを覚えてます笑。なんか、子供の俺が一番喋るみたいな。「学校でさ!」みたいな笑。親二人に気を使っちゃって。その思い出もあって『ウイングマン』はいいエロさとカッコよさがあるという印象ですね。今でもフィギュアを探しちゃうんですよね。良いやつ出ないかなって。自分の中でいまだに見た目がかっこいいといえば『ウイングマン』ですね。

―じろうさんは『新・ジャングルの王者ターちゃん』(以後、「ターちゃん」)がお好きだということで。「ターちゃん」は今見ても笑えるギャグセンスだなと思います。

じろう こういうのばっかり読んでたから、いまだにちんことか好きなんですよね。絶対ちんちんでてくるんで。

長谷川 すぐ伸ばしますもんね。ムササビとか、あの発想ないですもんね。

―「ターちゃん」に対する思い出は何かありますか。

じろう アナベベの抽選のボケをずっと覚えてて。吉本のライブでも抽選の時にやるんです。一切ウケないんですけど、誰もわかんないから。

長谷川 俺が「アナベベのやつだろ」っつってもウケないんですけど笑。

じろう Cか何か引いて、めちゃくちゃ強いやつとアナベベが当たっちゃって。そのCの玉か何かをぎゅっとやってBにして、「貧乏暇なしのB」って言ったんですよ。それ、僕はすげえ覚えてて、それ未だにアルファベット系の抽選のときやってますね。

長谷川 ぼんやり覚えてますよ、そのシーン。

(『新ジャングルの王者ターちゃん』を読んでもらっています。)

じろう あれ、でも、普通にB引いてる。あれ?

長谷川 記憶がね、どこかでごっちゃになってるのよ。

じろう これが、そうだ、こいつだ。こいつがF、この人が曲げてEにしたんだ。で、アナベベは、普通に覆面で出てて、貧乏暇なしのBって言ってる。

長谷川 ごっちゃになってたのか。だから、二つのボケを両方やってた。「ターちゃん」から二つ頂いてるっていう笑。アナベベってちょっと卑怯なんですよね。

じろう アナベベ、くずなんですよ。

長谷川 おもしれえな、今読んだら。

じろう 何だかんだ勝つみたいな感じ、すごい好きなんですよ。格闘漫画としても、面白かったので。

―今読んだら、逆に新鮮かもしれないですね。

じろう そうですね。すぐちんこの描写、出てくるもの。

長谷川 めちゃくちゃ出てくるよ。あと、ハミちんしてるやつも多かったし。

―お二人のラジオ、二〇一八年に入って三月ぐらいから聞くようになったのですが…。

長谷川 やってましたね。

―お尻のくだりがとっても多くて驚きました笑。

長谷川 やっぱり、お尻とかのルーツはやっぱり、これから来てますね笑。

―ちなみに『ヤングジャンプ』の作品って読んでたことはありますか?

長谷川 『ヤングジャンプ』を見てた時期はあるんですけど…。『孔雀王』は、読んでましたね。あれもちょっとエロいんで読んでたところがあります、はい。エロいのばっか読んでるみたくなってますね笑。『LIAR GAME』も読んでましたね。面白かったです。

―漫画が先程のギャグのように、コントや「芸人として」という部分で、何か肥やしになっているところや、共通点みたいなものを感じることはありますか?

じろう 漫画の影響をだいぶ受けてると思います、僕は。ネタに。

長谷川 結構受けてる人、多いと思いますね。

―それはキャラとか。

じろう そうですね、あと、何かこういう面白さもあるんだみたいな。『えの素』もすごい好きで、あれもまあ、おちんちんいっぱい出てきますけど、やっぱ読んで、こういう面白さがあるんだなっていうのは勉強しましたね、漫画で。あと、読んでて、「この人お笑い好きだろ」っていうのが分かる漫画家さん、結構多いっすね。ツッコミのワードにこだわってたりとか。

f:id:tonarinoyj-op:20181112162940j:plain

―それはわかるものなんですか?

長谷川 わかりますね。漫画でノリツッコミするってことは、お笑い好きなんだろうなとか。あとは、芸人の間で一番漫画家さんが良い意味で狂ってるっていうような話はしますね笑。全部一人でやってるわけじゃないですか。カット割りは監督の作業、脚本家の作業、演出家の作業って、あと、絵も描かなきゃいけない、キャラも自分で考えて、キャスティングもやって、映画を一人で作ってるみたいな。良い意味で頭おかしい、一番尊敬すべきクリエーターだみたいなことは、やっぱり芸人の中で話しますね。それもあってかっこいいイメージですね、漫画家さん。僕の中では。

f:id:tonarinoyj-op:20181112162517j:plain

―ありがとうございます。インタビューの最後にこれからどういうふうになっていきたいとか、展望みたいなものを聞かせていただけたらなと思います。

長谷川 展望、そうですね。コンスタントに、年に一回やる単独ライブがどんどん大きくなっていってくれるのが、まず第一の目標ですね。自分らのベースとしてそこは大事なので。それ以外も、ばらばらでちょこちょこ呼ばれたりもしてるんで、並行していい感じ仕事が増えたらなというのは思ってます。昔だったら、冠番組でMCになりたいとか、言ってたんですけど、今の時点ではまだ無理なので、先月やってた一ヶ月の単独ライブもそうですけど、地盤を固めていく作業をこの先もまた続けていきたいです。あと、全国を回ったりもしてるんで、それが、その種まきなのかなとは思ってるんで、あと何年かは、もっとがっちり足元を固められたらなと思っています。

―ありがとうございます。じろうさんは何かありますか?

じろう そうですね、お客さんをどんどん増やしていくというのと、今年、全国回ってるんで、東京に出て来づらいという人のために僕らが行くので、それを多くの人に見に来てほしいですね。漫画も今、スマホで簡単に読めたりするじゃないですか。もう、買うのは本当に好きな人だけになってきてると思うんですけど、ネタとかも簡単にスマホで見られちゃうけど、劇場で「生で見る面白さ」っていうのは絶対なくならないものだと思うんで、そこは時代と逆行してるのかもしれないですけど、続けていって、生でお金を出して笑いに来るという人を増やせるようにしたいと思っています。

―夏のライブはチケットも即完で。

長谷川 ありがたいことなので。これから続くように、やる限りはそれが続くようにという気持ちで。

―ありがとうございました。

 

f:id:tonarinoyj-op:20181112144930j:plain

よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。2006年結成。2014年キングオブコント優勝。
広島ホームテレビ「ぶちぶちシソンヌ」、NHK「LIFE!」等に出演中。じろうはNTV「卒業バカメンタリー」(2018年1月期放送)や来春公開の映画「美人が婚活してみたら」の脚本等も手掛けている。また、じろう執筆の著書「サムガールズ」や長谷川が責任編集長として作成したZINE「混沌」も好評発売中。