アニメソング×YJ特別インタビューvol.1 ZAQ

アニメソング×YJ
撮影:石川耕三 ヘアメイク:古橋香奈子

人気アニソンクリエイター、アニソンシンガーの魅力に迫る三週間!
第一回目は、ジャンルに囚われない音楽性で、新たなアニソンの「王道」を切り拓くZAQさんが登場です!

 

ZAQ PROFILE

1988年3月16日生
趣味:格闘技観戦 特技:口笛
代表曲:「Sparkling Daydream」TVアニメ『中二病でも恋がしたい』OPテーマ
    「カーストルーム」TVアニメ『ようこそ実力至上主義の教室へ』OPテーマ

 

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―まず初めに、ニコニコ動画で歌い手を始め、その後ご自身が曲を作るようになったきっかけを教えてください。

ZAQ◇私、そもそもニコ動で活動を始める前から歌手になりたいなと思っていて、いろんなオーディションを受けていたんです。私はずっとランティス(現在所属レーベル)に入りたかったんですけど、そこが主催するオーディションがあって、私の尊敬する作曲家でもあるヒャダインさんが審査員をやってらっしゃったんです。そのオーディションに応募するには、ニコニコ動画のアカウントが必要だったので、ニコ動に動画を投稿しました。オーディションではファイナルまで残ったんですけど、結果だめで。それからも地道にニコ動での活動はちょくちょく続けていて。ご縁があってランティスの方に声をかけて頂いて、最初は作曲家からやってみようということで、作曲家として二〇一二年の二月から、同年十月に歌手デビューという流れになっています。

―その後、プロとして活動を続けていく中で、ZAQさんの名前が有名になった最初のきっかけは「Sparkling Daydream」(アニメ 『中二病でも恋がしたい!』 OP主題歌)だと思うのですが、この曲を改めて振り返ってみて、いかがですか。

ZAQ◇アニソンシンガーになりたいと思ってから、何年間もいろんなアニソンを勉強してきたんです。勉強する中で、「私の中のアニソンはこうだ!」っていう気持ちを100パーセント詰め込んだ楽曲だと思います。まあ、それからもキラキラした曲っていっぱい出しているんですけど。多分、あの曲が一番フレッシュな状態で描けていて、自分のアニソンに対する欲がめちゃくちゃ出ている曲だと思います。

―「Sparkling Daydream」っていう曲名も、そういったご自身の思いを込めたものになっているんですね。

ZAQ◇そうですね。キラキラした白昼夢っていう意味なんですけど。まあ、『中二病でも恋がしたい!』というのは、ラブもありつつ青春の甘酸っぱさみたいなところとか、ちょっと恥ずかしい部分だったりとか、黒歴史みたい側面もあるんです。最初は、主人公の男の子も「うわ、恥ずかしい、恥ずかしい」っていっているところから始まるので、やっぱその歴史のこっ恥ずかしさとか、そういう照れくささみたいなのも出せたかなという感じで。作品にちゃんと寄り添うことを意識して作りました。

―作品に寄り添うというお話が出ましたが、作品に寄り添って、そのアニメにマッチする曲を作る際に心がけていることはありますか。

ZAQ◇発注どおりに書こうという気持ちもあるんですけど、やっぱりその世界観に寄せていくかな。ファンタジーだったらすごくファンタジックに作るし。「のんのん日和」(アニメ『のんのんびより』ED主題歌)では、『のんのん日和』そのものの世界観に寄り添って作りました。「カーストルーム」(アニメ『ようこそ実力至上主義の教室へ』OP主題歌)だったら、殺伐とした世界を、冷たい表現で書くように意識しました。

―では、「のんのん日和」や「カーストルーム」とは逆に、作品に対してストレートな表現を使わない楽曲の場合はどうですか。

ZAQ◇そうですね、どうしているかな。その人(歌い手)が何を好きかとかを考えます。歌い手さんに「どういう曲、好き?」とか聞いたりもします。以前、キャラソンで『中二病でも恋がしたい!』のヒロインの曲を書いてほしいって言われたんです。そのとき、ラブソングっていうのは決まっていたんですけど、曲調は特に指定がなかったんですね。その時、ちょうどヒロイン役の内田真礼さんがバラードを歌いたいと仰っていたので、じゃあバラードにしようということで決まった事もありました。何かのきっかけでアイデアをいただくことは、結構あるかな。

―そういった作品に寄り添う形でのきっかけというのは、ある種の“制限”にも感じます。曲を作っていく上で“制限”がある方が、曲を作りやすかったりするのでしょうか。

ZAQ◇そうですね。自由って意外と不自由なんですよね。私は枠組みがしっかりしてあって、その中をめちゃくちゃに泳ぐほうが好きです。でも最初はちょっとやり過ぎて提出することはよくあります。それから減算でというか、引き算をしていきましょう、というパターンも多いです。でももう正解が見えている発注が多いので、そのときはその枠の中で自分の色を出しながら、彼・彼女たちが一番輝けるメロディー、歌詞をやっぱり意識しますね。

―そういった曲作りを続けていく中で、スランプはあったのでしょうか。

ZAQ◇『中二病でも恋がしたい!』二期のOP主題歌「VOICE」を作るときが正にそうでした。その時、性格がとんがっていたので、一期と同じことはしたくない。でも、一期を超えたい、あっといわせたいという気持ちがあって。結果的には自信作になったのですが、やっぱ一期の「私アニソン大好き、アニソンイエーイ☆」みたいな気持ちよりも、心がとんがっている曲になっていると思います。その後しばらくは、色んな葛藤と戦いながらずっと悩んでいて、自分の音楽が見えなくなってる時もありました。どんな音楽でもやりますっていうキャラでやっていると、自分の性格的にも、一個の音楽を突き詰めることができなくなっちゃっていて。「カーストルーム」も実は凄く迷いながら作ったんです。でもあの辺から、悩んできた自分の音楽センスが、全部今の自分の音楽なんだっていうのを受け入れることができるようになりました。

―ご自身の中の葛藤のような、そのときの感情が曲に反映されるという事は、過去の自分が作った曲というのは、もう作れないということなのでしょうか。

ZAQ◇いや、似た雰囲気の曲はいっぱい作ってます。でも例えば「Sparkling Daydream」って、ちょっと異常にポジティブなんですよね。二十三、四ぐらいのときの曲なんですけど。満ちあふれているんですよね、キラキラに。曲から来るきらきらの圧が凄いので。それを傍から見ている今の自分っていうのは、あの頃の気持ちを思い出すことはできるけど、戻れはしないなって思います。でも今は今で、大人になった音楽がつくれているなと思うので。その時その時をちゃんと楽しめてると思います。きっと昔の自分は、今の私がつくっている曲みたいなのを作りたかったと思うし。だから、全部含めて私なのだなと思います。

―では最後に鈴木このみさん(来週掲載予定)に対して、何か一言頂けますか。

ZAQ◇彼女(鈴木このみさん)は本当に何でも歌えるというか、どんなジャンルの曲でも掛かって来いという感じなんですよ。英語もできるし、リズムも音感もいい。文句なしの素晴らしい方なんですけど、どういう曲に挑戦したいか聞いてみたいです。なんでもできるからこそ。

―では、聞いておきます。これからの楽曲も楽しみにしております。ありがとうございました!

ZAQ◇ありがとうございました!

 

 

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