アニメソング×YJ特別インタビューvol.3 大石昌良

アニメソング×YJ
撮影:石川耕三 スタイリスト:宇都宮春男(YKP) ヘアメイク:瓜本美鈴

人気アニソンクリエイター、アニソンシンガーの魅力に迫る三週間!
最終回となる今回は、男女問わず高い人気を誇り、今やアニソンシーンを牽引する大石昌良さんが登場です!

 

PROFILE

大石昌良(おおいしまさよし/愛媛県宇和島市出身)
1980年1月5日生まれ。
2001年「Sound Schedule」のVo,Gtとして、メジャーデビュー。ミュージックステーションなどのTV音楽番組や多数のフェスに出演。
2008年「大石昌良」としてソロデビュー。
2014年、アニメ・ゲームコンテンツ向けに「オーイシマサヨシ」名義で活動開始。『月刊少女野崎くん』『多田くんは恋をしない』といった人気アニメや、特撮ドラマ『ウルトラマンR/B(ルーブ)』の主題歌を担当。
2015年より、オーイシマサヨシと次世代サウンドプロデューサーTom-H@ckとのデジタル・ロック・ユニット「OxT」を結成。TVアニメ『ダイヤのA』『オーバーロード』『SSSS.GRIDMAN』の主題歌を担当。
2017年には作詞作曲を担当したTVアニメ『けものフレンズ』の主題歌「ようこそジャパリパークへ」が大ヒットを記録。
今大注目のシンガーソングライター、音楽クリエイター。

 

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―今週は、アニメ『けものフレンズ』のOP主題歌「ようこそジャパリパークへ」でお馴染みの、大石昌良さんが登場です!
まずアニメソングとの出会いについて教えてください。

大石◇鳴かず飛ばずだったJ‐POPソロアーティスト時代に、当時のマネージャーさんが、アニメ『ダイヤのA』OP主題歌のボーカリストオーディションに僕へ何も言わず応募していたんです。その話を聞いた時には、もう三次審査まで受かっていて、スタジオに来て仮歌を歌ってくださいって言われました。言われるがままスタジオに行って、そこで歌った仮歌がそのまま採用されたんです。今のユニットの相方であるTom‐H@ck君が作曲をしていて、彼とそこで初めて会いました。ここからアニソン人生が始まりました。

―それまでアニメにはあまり興味がなかったのですか。

大石◇いや、アニメは元々大好きでした。それこそTom君が関わっていた『けいおん!』も見て凄いと思っていましたし、オタクまではいかないかもしれないですけど、色々なアニメを見ていました。あと、漫画も大好きです。子供のころからずっと「週刊少年ジャンプ」を読んでいます。今だと「約束のネバーランド」はコミックスも買って読んでいます。

―ありがとうございます!しかしお仕事としてアニメと関わったのは、偶然という感じなんですね。

大石◇そうですね。僕、自分のことを「アニソンわらしべ長者」だと思っているところがありまして。まずアニメ『ダイヤのA』でボーカリストとして招集されて。「Tom‐H@ckと一緒にやっているんだったら、いい感じのアニソン作れるだろう」ということで、当時アニソンを作曲したことがなかった自分にアニメ『月間少女野崎くん』OP主題歌を作る話が舞い込んできたんですよ。その曲(「君じゃなきゃダメみたい」)がそれなりにヒットして。それがきっかけで、ニコニコ動画で活動されているりぶ君っていう歌い手さんの楽曲を書くことになって。その時のレコード会社のディレクターさんが、とあるアニメのOP主題歌を作ってくれませんかとお声がけしてくださったんです。その時作った曲が「ようこそジャパリパークへ」(アニメ『けものフレンズ』OP主題歌)で、アニソンの中だとかなりヒットして。その後もアニメに関わる楽曲をたくさん作らせて頂いています。こんな感じで自分でも驚く程繋がっていって、わらしべ長者みたいだと思いますね。今思うと、一個一個のお仕事を一生懸命やっていて良かったと思います。僕、アニソン界でいうと遅咲きなので、レーベルのスタッフさんに「大石君は夢があるね」、「人間って何歳からでも成功できるんだね」って言われたりするんですよ。そういうきっかけを与えてくれたのがアニソンなので、僕にとってはなくてはならない存在です。

―「Tom‐H@ckと一緒にやっているんだったら、いい感じのアニソン作れるだろう」というのはプレッシャーにならなかったですか。

大石◇今までと畑が違い過ぎて、全くならなかったです。だから肩の力も入らず、とりあえず与えられたことを一生懸命やろうというスタンスで仕事ができました。これ僕の持論なんですけど、成功したかったら成功している人のそばにいるのが一番いいと思うんです。成功している人のそばにいるためには、認められるだけのスキルをちゃんと備えていないとだめだとは思うんですけど、自分の特徴が見えてくると思うので。結局成功するための知識や道筋を知らない状態で暗中模索するのが一番効率悪いと思うんですよ。だから成功するための知識を得るためには、やっぱり成功した人のそばにいることが大事だと思います。僕の場合はTom‐H@ck君の存在が大きかったです。初めてアニソンを作ったときも、彼の曲を参考にしたりしました。

―ありがとうございます。今や数多くのアニソンを世に出し続けている大石さんですが、鈴木このみさん(先週掲載)から「曲が似たり、ネタ切れになってしまうことってないんですか」という質問を頂いております。

大石◇僕は作品に準じてつくるタイプの作曲家なので、ネタ切れはぶっちゃけないですね。ネタはその作品の中にあるので、作品の数だけ宝物が隠れているという感覚です。例えばその作品の世界観を抽出するだけで、違った曲がどんどんできていきます。僕は、自分の力で曲を作っているとは思っていないです。作品の力で曲を作っていると思っています。だから曲を作るときはその作品にかなり没入してしまいます。でも一人の人間をここまで没入させる作品をつくる先生方のことを、本当に尊敬しています。

―考え方が漫画編集に近い印象を受けます。

大石◇近いと思います。僕、自分のことを主役だと思っていないんですよ。裏方だと思っています。自分が幸せになることよりも、その作品を通じて誰かが幸せになることを真剣に考えていることが多いです。アニメの主題歌を作るときも、自分の楽曲で視聴者を幸せにするというより、その作品全体を通じて幸せになって欲しいと思っています。だから奇をてらうこともあまりないです。あともう一つは、曲を通じて「ちょっとこのアニメ、見てみようかな」って視聴者に思わせることが、僕の役割かなと思います。

―人気や実力はもちろんですが、そういう謙虚な姿勢が、多くの楽曲をお願いされる要因の一つだと思います。

大石◇ありがとうございます。やっぱり先生扱いされて、大石さんにお任せって言われて、先方に何も言わせなくなってしまうと終わりだと思っています。お任せでつくるほど危険なものはないと思っているので。僕がつくったものが全て正解だと思っていないですし、細かい要望って絶対にあるはずなんですよ。だから自分だけでつくるのではなくて、チームみんなでつくった方がいい曲ができると経験的に確信しています。作品に準じるという意味でも、その作品のことを一番知っているのは監督さんや原作の先生なので、そういう方の意見を無視するというのはリスクが高いと思っています。だから僕の役目というのは、チームの意見を集約させることだと思います。自分が持っているプロダクションのチーム、その作品を担っている編集の方、原作の先生、監督さん、製作委員会など様々な立場にいる方たちの力を集めることで、良い楽曲が出来上がっていくと考えています。だからこそ自分のことを裏方だと感じています。

―ありがとうございます。最後に、ツアーに向けて抱負をお願いします。

大石◇弾き語りツアーで全国9か所周ります。毎年、ライフワーク的に引き語りライブを行っているのですが、久しぶりに福岡や札幌、地元の愛媛にも行けます。オリジナル曲や自分のアニメソングをカバーする場面もあったりするので、みなさんが知っている曲もやると思います。ぜひとも遊びにきていただけたら幸いです。よろしくお願いします。

―ありがとうございました!

 

 

INFORMATION

大石昌良/オーイシマサヨシ OFFICIAL SITE
https://www.014014.jp/

大石昌良/オーイシマサヨシ Twitter
https://twitter.com/Masayoshi_Oishi